自治体政策セミナー
2003. 02. 08
セミナーは「日本国憲法とわれわれの郷のかたち」・・専修大学教授白藤博行氏の講演、京都府美山町参事兼総務課長高野美好氏の特別講演、それと6つの分科会が行われました。
白藤教授の記念講演では、西尾私案をどうみるかがひとつのテーマでした。
▼ 西尾氏とも交流のある白藤教授の指摘は、主観的には地方自治への彼の深い想い入れを紹介しながらも、これが、単に10、000人以下の小規模自治体への攻撃にとどまらない、国家の論理、市場の論理による国のありよう、地方自治体のありようを根本的に変えようとするものになっていることを詳細に解明しました。そのうえにたって、こうした流れに対抗するわれわれの道はどのようなものか、「われわれの郷のかたち」をめぐって数々の問題提起をおこなわれました。
▼ 単独存続を選択した境港市の今後にもかかる大きな問題で、境港という狭い枠の中で考えていては追い込まれる、いま地方から、われわれの郷のかたちを、住民とともにつくりあげてゆくことが大事で、この攻撃にあらがいたたかうことなしに、この境港もいきのびてゆくことはできないと感じて帰りました。
美山町参事高野氏の講演は、そうした地方からの、およそ20年かかった郷づくりの、それをリードしてきた本人からの実践報告でした。
▼ 美山町は京都府のはずれ、府内でも一番広い面積を有する田舎ですが、ご多分にもれず昭和の高度経済成長の荒波をもろにうけ、過疎化と少子高齢化がすすみ、人口が半減した町(現在、人口は横ばい基調で約5,200人)です。昭和54年ごろから町職員を先頭に、まずは町民の願い、町への想いなどを知ることからだと集落懇談会を繰り返し、(なんと1年間に173ケ回も)、農地の基盤整備や近代化整備、集落や地域環境整備などに取り組みをはじめた。しかし、どだい、町民は職員など月給泥棒ぐらいにしか見ていなかったこと、「役場なんて、なにいったってやらんとこだ」・・こんな声ばかりだったり、「オレに相談なしに!」と荒くれるものとか、こんな日々の積み重ねだったとのことですが、そういう結果、農地は見違えるように変わり、職員の動きに、少しづつ住民の意識が変わっていった、たとえば圃場整備には清算事務など欠かせませんが、誰もやりたがらない仕事、しかし結局は誰かがやらなければならないなかで、これをやった住民が地域のリーダーとして成長していったとのことでした。こういうなかで生まれたスローガンが素敵で、これは全国に紹介されたそうですが、「田んぼは四角に心は円く」です。
▼ 20年を書き続けると紙面がいくらあっても足りませんが、これが出発点となり、都市と農村との交流を推進した第2期の村おこし、新産業起こしの3期、そしていま、「めざせ日本一の田舎づくり」を合言葉に、いよいよ行政頼みから町民主導の村づくりへ、旧村単位の地域振興会(公民館などを廃止し、住民代表で構成された自治組織、そこに町職員を2名配置。いずれ公選にと考えている)へとすすんでいるとのことでした。
▼ 人口5000の美山町と37000の境港市と、また農山村と都市とのおかれた地域的特性は大きく違いますから、そのまままねすればよいものではありませんが、いま関西近郊都市住民のあいだに「美山応援団」ができるほどの、そして町民が誇りに思える村づくりを、住民自治を大切にしながら作り上げてきた事実は、学ばなければなりません。しかもこういっていました。「すべては人づくりでした。でもそれはまず、行政自身の人づくりからでした」と。ここに行政にたずさわる私たちの学ぶべき一番大切なことがあると思いました。
分科会は「小規模市町村の合併問題」に参加しました。
▼ ここでは合併にともなってどこでも行われている財政シミュレーションについて、丹波篠山、兵庫・氷上郡、京都・丹後6町などの事例がだされ、実証的な検討が行われました。推計の基礎となる交付税や職員削減に広域化がもたらす負荷が考慮されていないなど科学的な検討に耐えないこと、それでも15年以降、合併した方が財政困難になっている事例もあることなどが明らかとなっています。
▼ 神戸・被災地からのは、国が交付税措置をするからと、復興事業をやってきた。8年たってなにが残ったか。莫大な借金だ。5年、10年で、国は切り捨てる。そんなことを当てにした財政計画で合併したら大変なことになるとの警告的な発言もありました。
▼ 私も発言を求め、単独存続を決めた境港市のとりくみを約10分報告。そのうえで、次のような問題を提起させていただきました。
定岡発言 中山間地をはじめとする農山村の、小さくともキラリと光る村づくりの実践にはすばらしいものがある。21世紀、地方の時代を築いて行く大きな希望です。しかし、人口10、000人から100、000人までの自治体もおよそ46%にのぼっています。ここでの地域づくりは、単純化した言い方で失礼ですが、たとえばゆずポン酢一つつくればやっていけるというものでもなく、個々にさまざまな実践事例はあるだろうが、そうした多岐にわたる多様な努力の総合されたものでなければならないだろう。こういう中規模都市の地域づくりについてもそういう実践事例などの研究、整理、交流ができるように自治研も努力をして欲しい。境港市としてもそういう発信ができるようにがんばりたい。





