後発薬活用について
2004. 01. 13
04年1月13日 am10:00―11:30
福井県立病院にて
中空孝夫薬剤部長
1. 平成14年6月13日の院議で後発薬の導入・拡大を決定した。
薬事委員会のなかに検討委員会を設け、その検討を経て平成14年10月から実施した。導入にあたっては、安定供給の確保、安全性情報の確保、品質確保、患者の自己負担軽減、患者の選択権確保という5つの基本方針をきめた。
★ 安定供給のために
後発薬メーカー上位10社を対象とし、入札で採用する(薬剤はこれまでも入札購入してきた)。6,7割を占める院外処方のためには少量包装、配送が可能でなければいけないことに留意した。
★ 安全性情報の確保には
後発薬メーカーのMR(医薬情報担当者)数や当院での活動状況、HPによる情報開示や電話での相談対応状況を調べ、また当院担当のMRを配置できることなどを条件に選定した。
★ 品質確保という点では
同等性検査はすべて出させるし、オレンジブック=FDA(アメリカ食品医薬局)が先発薬と後発薬の生物学的同等性を評価した文書、日本版オレンジブック=1995年以前に申請された後発薬5,500品目の品質を評価した文書、および1995年以降に申請された後発薬の品質を評価した後発品新ガイドラインに掲載されているもので、問題はない。
2. すすめ方としては、以下のようなことに留意してきた。
▼ 院内採用薬品1600品目のうちベスト100の中から、各診療科で平均的に採用されているものからまず選定し
▼ 院内いたるところに「お知らせ」を掲示した。なかには、患者が減るのではないかという不安からこっそり導入するところもあるらしいが、当院では患者の選択権を確保し、情報公開に努めた。
▼ ドクター全員に新薬、後発の両方併記した比較表をもってもらい、患者に説明し患者の選択に任せた。オーダ入力時にも、対応する後発薬品名が表示されるようにした。
▼ 1年間は両方置くことにして新薬を平行使用した。患者の選択権を確保し、おおよそ6割を超えた時点で、新薬を削除していった。
▼ 院外薬局の協力もいる。薬剤師会にも説明し協力を得た。後発薬の名前になじみがないこともあり、処方箋に後発薬であることがわかるマークもつけた。この点ではあまり記載の多いのを嫌う保健局とずいぶんやり取りがあったが通した。
3. とりくみの動機は、医療制度の改定で重くなる患者負担の軽減が主な目的だった。社会的な背景として、後発薬の利用促進という要請、患者選択権の拡大、県議会質問もあった。
4. 医師の反発はあったが、「医療は患者のためだ。とくに県立病院という公的医療機関の役割を考えれば、当然のこと」として理解はされた。3割負担になり、しかも長期投与ができるようになって、患者の負担は大変のものだ。ドクターもそういう状況を認識していたのだと思う。
5. 平成14年10月からだから、まだ一年余。切り替えた品目も1300ある薬品のうち65品目で5%程度だ。32品目導入の段階の数字だが年間ベースに換算し2100万円余の医薬品購入費の削減になっている。
6. 後発薬を使用すれば、3割の患者負担額は、たとえばある病気で入院注射した場合、7日分で、3929円が1848円。外来処方である医薬品投与の場合、28日分で、1072円が558円だ。患者さんから「助かった」の声はたくさん寄せられているが、先発薬に代えて欲しいという声は1件もない。
7. 信頼性については心配していない。FDAが検証し、国が認可していて新薬との違いがどこにあるか。やってみて後発薬を起因とする事故はない。
8. 当院では、私の建議によるものだが、院長はじめドクターが受けとめてくれた。トップの判断だろう。全部を後発薬にといってるのではなく、安心して使えるものを使って患者に安価な医療サービスを提供しよういう当たり前のことだ。
9. 行政や病院関係者の視察、問い合わせがあいついでいる。先日も京都の300床ほどのベットをもつ病院長がきた。やれそうなイメージをもって帰られた。





