地域自治活動支援
2004. 08. 06
名張市・ゆめづくり地域予算制度について
8月6日午前9時~10時15分
名張市生活環境部まちづくり支援室長 松下英子氏
事務局 総務調査室長 塚本美鈴氏
三重県名張市は、大阪のベットタウンとして人口が増え続け、いま85,000人、面積130K㎡の風光明媚な町です。ここでは市長の公約という形ではじまった『ゆめづくり地域予算制度』が平成15年4月から発足し、いま市内全域をカバーする14の地域づくり委員会がつくられ、そこに総額約5000万円の地域交付金が、均等割、人口割で交付され、住民合意のもとそれぞれの委員会で決められた地域福祉の増進や生活環境整備事業に使われています。週末ふれあい親子事業、盆踊り大会、花壇の設置、ゴミステーションの整備、健康教室、防災訓練など、とりくまれている事業は委員会によってさまざまです。
市長のトップダウンではじまり、とりくみが急で、事前の市民議論が不充分だった側面もあるようです。そこから地域の委員会でも一部役員に仕事が集中したり、逆に専横があったりと、いろいろな問題もあるようです。また地域のニーズにきめ細かに対応できるのは良いことですが、片方で、たとえば地域の仕事となった敬老会をやめるところがでるなど、サービスの格差が生まれる、ここをどう整理するかという問題もでていました。

市は、職員による地域振興推進チームを作って、助言、情報提供、実務処理などのサポート体制もつくっていますが、地域づくりの主体はあくまでも委員会だと、「カネは出しても口はださないに徹している」(松下さん)とのことでした。
まだ始まったばかりで、また地域によって困難もあるが、この制度によって、目の前のそれなりのお金を前に地域のなかでまちを見直し、どうするか、「議論がおきたこと、自分達のことは自分達でと、実践がはじまったことが成果」と、松下さんは強調。また「この経験を通して、市政や政治に参画する力も育ってくると期待している」とも述べていました。
大井川町・住区まちづくり委員会について
8月6日午後3時~5時
大井川町役場まちづくり係長 森下数廣氏・岡本久美子氏
議会事務局長 朝比奈宏樹氏
日本共産党町議会議員 池谷秋雄氏
(1) 静岡県大井川町は、静岡県中部の大井川の河口、山一つない25K㎡の平坦地に、町の管理する漁港をもち、また航空自衛隊清水静浜基地がある、23,600人という人口、温暖な気候という違いをのぞけば、境港市によく似た町勢の町でした。
ここでは平成11年に、『地域参加のまちづくり条例』を制定し、“みんなの知恵と汗で創ろうおおいがわ”を合言葉に、まちづくりを進めています。おおむね町内会ごとに『住区まちづくり委員会』を組織し、この委員会が自主的に設定した課題、とりくむ事業を町が支援する。もって個性的で調和のとれた「まち」をつくっていこうというものです。
町は、このまちづくり委員会に均等割と世帯割で算出した運営費と、申請にもとづいて委員会がきめたまちづくり事業に対し、100万円を限度に事業資金を交付します。
(2) 事業はこれまたさまざまで、私も現場まで見学にいきましたが、荒れて放置されていた畑を借りて住民で野菜づくり。休みには種まき、草取り、子どもがでてくる。子どもがでてくるから親がくると、三世代が交流する場にもなっているという。「今年はとうもろこしがよくできた。1000本ぐらいとれるかな。明日は収穫祭です。40人ぐらいは集まると思う。みんなで焼いて食う」と、この委員会を職員として支援してきた議会事務局長がうれしそうでした。
ある委員会は、河川の土手を遊歩道として整備。会社から重機をもってきて、あっという間に仕事を片付けたツワモノもでてきた。これまでの町が発注して業者に頼めば400万ぐらいかかったものが、100万円でできたと自治会長が自慢そうでした。
どこでも草ぼうぼうの公園が多いものですが、町営住宅の跡地を運動場、遊び場として借りて自分達で整備した吉永の公園は、草のないきれいな姿をみせていました。「自分達のものですから」と、これまた自慢そうな森下氏。
団地内砂場や公園や花壇の整備、防災講演会、町のお宝発見事業、NPO法人化をめざすメダカクラブ、ホタルの里復活事業、交通安全対策、生ゴミ0作戦・・他、50の住区の委員会のとりくむ事業は実に多彩でした。
「これまで眠っていた高齢者の知恵、経験が地域で活かされている。そのことが高齢者の生きがいになってきた」と森下氏は言い、「まちづくりはモノをつくることではない。人づくりです。地域の交流と和が進んだ。これが財産です」と語っていました。
(3) 平成11年の条例制定と書きましたが、大井川町の自治組織活性化へのとりくみはもっと遡るようです。町は平成4年から、①住民自治の原点に帰る。②住民の活発な活動の積み重ねこそ町活性化の力。③その住民を育てる職員の力量アップ、をキーワードに、職員研修の強化を先行し、平成9年には、まちづくり出前セミナーで、住民との情報の共有に務め、翌年には自分達のまわりを再発見するときめきコンクール、こんなまちにしたいというひらめきコンクールなどを開催。また住民との懇談会、活動発表会を重ねています。こうした積み重ねが、条例制定後の地域のとりくみをつくっているのでしょう。名張で聞いたようなギクシャクはあまり感じられませんでした。
森下氏は、「住民も大変だったと思う。当初は、役場の仕事の押し付けかという声もあった。三役先頭によく地域へでかけました。しかし職員も大変でした。それまで職員は、上から言われたことをやっていればよかったが、町の足元、地域を、自分の目で身体で知ることからはじめなければならなかった。行政主導の行政運営にどっぷり浸かってきた職員の意識を、住民主体の意識に変えることが大きな課題だった」と振り返って語ってくださいました。
(4) 「住民といっしょに動くとなれば、お休みや夜は、どんどんつぶれませんか」との私の質問に、「職員からも不満はでました。でも役場職員の役割は変わった。必要な休みは当然とるとしても、残業代だ、超勤手当てだという考え方は、変わらざるをえないと思う」との答えでした。
予定した時間をはるかにオーバー、現場までご案内していただいての視察でしたが、ここで見聞きしたことのなかに、市民協働とは・・。そのための行政の第一歩は・・。私はいま境港市でも学ぶべきことがたくさんあるように思います。役場から駅まで、「帰り道ですから」と若い職員がマイカーで送ってくれましたが、「役場の仕事はいかがですか」との私の質問に、彼は、「私は好きですね」と笑顔で答えていました。





