国保一部負担金について

06年10月17日から19日にかけた政務調査のうち、兵庫県尼崎市でおこなった「国保医療費の一部負担金減免制度導入の背景と現状、課題について」の概要と学んできたことは次のとおりです。
10月17日、午後2時から3時半まで、市民局市民部国保年金課坂本竜治課長ほか1名から、午後4時から午後5時まで、日本共産党市議団よりヒアリングしました。

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尼崎市(人口約45万人)は、昭和45年から『尼崎市国民健康保険一部負担金減免および徴収猶予取扱要綱』を定めていたが、平成7年阪神大震災で特別免除をおこなったほか、適用事例もないまま推移していたが、平成16年6月から要綱を改正し、改めて実施を明確にすることになりました。きっかけとなったのは、平成14年におこなわれた沖縄県国民健康保険審査会の裁決、県社会保障推進協議会などの運動、松村セツ子尼崎市議(共産党)の本会議質問などだったという説明でした。
沖縄県豊見城市の市民が平成14年4月3日、国保法44条にもとづく一部負担金の免除申請をおこなったところ、市は「減免措置をおこなっていない」ことを理由に却下、これに対し市民が県の国保審査会に不服申し立てをおこなったが、同審査会が平成14年12月2日、この「却下」を不当とし、市に是正を求めたという出来事がありました。
国保法44条は、「・・・(減免など)次の各号の措置をとることができる。」と定めており、これを「できる規定」とし、だから「実施しなくても違法ではない」という考え方が大勢を占めていたのだが、沖縄県国保審議会は、「市町村の自治事務といえども、市町村がまったく自由裁量できるものではなく、法令の範囲内で処理できるというに過ぎない。国保法44条は、次の措置をとることができると規定していることからすると、具体的な事案に応じて、各号の具体的処分をゆだねていると理解すべきであって、そもそも国保法の一部減免制度の拒否まで、ゆだねたものでないことは明らか」と裁決したのです。
これを尼崎市は、「裁判の前置制度としておこなわれている不服審査制度のもとで、裁決は判決に等しいもの」として、改めて実施を明確にすることになったものです。私が一昨年にこの問題を取り上げたとき、この点は不十分だったことで、大きな収穫でした。
(2)
しかし、制度はつくったものの平成16年度の申請件数は1人で、適用実績は1人のべ3件に終わっています。市は問題点として、「福祉施策のような低所得者層に対する優遇措置との混同」をあげ、「社会保障制度のなかに位置づけられている一時的な緊急避難制度との理解浸透をはかること」を課題としていました。
いろいろ聞かせていただきましたが、制度の要領の厳しさが、申請を阻む壁になっているように感じました。取扱要領は、「滞納がないこと」などとともに「利用しうる資産のすべてについて活用を図っていること」、「労働能力をもっているものがすべて就労していること」など、生活保護と同じような条件を課しています。これでは、生活保護に至らないまでも、医療費の支払いに困窮する世帯の緊急避難にはならない。「車をもっていてはダメ」では、それこそ自立の道を阻害しかねない。働きたくても仕事がなくて困っているのに対し、「働いていないとダメ」では、この情勢下、なんの救いになるだろうか。
法を遵守した尼崎市の姿勢は評価したいが、「筑豊じん肺訴訟」、「水俣病関西訴訟」、「B型肝炎訴訟」と、あいついで断罪される、援護やサービスの対象者をめぐる形式主義、形はつくるが実をともなわない、行政の立ち遅れをここでも見る思いでした。