2007年 6月議会

6月11日から25日までの境港市議会が終わりました。 私の一般質問および討論の大要を掲載します。 ■6月議会報告PDF版はこちら■

最低賃金法の抜本改革と均等待遇を実現せよ

定岡敏行市議 国に最低賃金法の抜本改正と均等待遇の実現を求める陳情第6号を「趣旨採択」にとの委員長報告ですが、これは「趣旨は汲むが、なにもしない」というもので、今日の情勢のもと極めて不十分というほかありません。
働いても貧困から抜け出せない低賃金構造、非正規雇用の拡大こそ、広がる貧困、暮らしの困難、引き起こされる家庭の崩壊とすさむ社会の要因であり、結婚できない若者たち、生み育てることへの不安となって少子化を進行させ、社会保障の今後への懸念となっています。消費低迷は景気回復の遅れ、地域経済の低迷を長引かせ、派遣や非正規雇用の拡大は、世界に誇った日本の製造現場の技術継承の妨げにもつながり、この国の未来に暗い影を落とすものとなっています。
時給1,000円はどうかと思うとか、賃金は使用者と労働者とのあいだで決定すべきという意見がありましたが、日本の最低賃金は、時給673円、月額にして約11万5000円平均、労働者の平均給与の32%と、とても生計費をまかなえない低さです。2006年度の数字で、日本の673円に対し、イギリスは1、010円、フランスが1、100円。アメリカは、ニューヨーク市で約1、272円、合衆国全体ではいま620円を870円に引き上げを審議中とのことです。まさに先進諸国で最低クラスです。
日本経済はかくも貧困なのでしょうか?とんでもありません。トヨタの2兆円をはじめ、日本の大企業は史上最高の利益を上げ続けています。時給1,000円の切実な要求は、小泉ニセ構造改革のもとで引き下げ続けてきた労働分配率を、もとに戻せば実現可能な最低賃金です。
ソニーの会長だった盛田昭夫さんが、「日本の企業風土では、どこか一社がやろうとすれば、その会社が結果的に経営危機に追い込まれてしまう」、つまり、「社会全体のしくみとして変えなくてはならない」、ヨーイドンでやるしかないといったことがありますが、企業の意思にまかせて、あるいは、企業と労働者の交渉にまかせて、労働者の賃金水準の向上は期待できません。だからこそ近代資本主義社会は、社会政策として最低賃金制度が作り上げてきたのです。
これらの要求は、誰もが「健康で文化的な最低限度の生活」、明日の労働力の再生産をできる賃金確保の基礎であり、人間らしく働ける社会の土台となるものです。貧困と格差の広がりで、閉塞感に満ちたこの日本社会から脱出し、もう一つの明るい日本社会へ踏み出す一歩となるものです。
陳情第6号の採択、意見書送付へ、議員のみなさんのご賛同をお願いし、討論をおわります。


この陳情について松本煕市議も同趣旨の討論をおこない、採決で松下克市議も賛同しましたが、賛成多数で、「趣旨採択」となりました。

証券優遇税制の延長に反対

定岡敏行市議 議案第35号、境港市税条例の一部改正の専決処分の承認を求める議案は、地方税法改正にともなうもので、住宅のバリアフリー化にともなう固定資産税軽減という歓迎すべき特例措置もあるが、上場株式等の譲渡益にかかる軽減税率、つまり株の売却益や配当に課税する所得税や住民税を大幅に減税している証券優遇税制の適用期間を1年延長するという問題も含んでいる。
上場株式の売却益と配当所得への課税は、本来なら20%のところ、2003年から2007年までの5年間の特例措置として10%に半減に優遇してきました。この株取引への優遇措置をさらに一年間延長するものだ。
株式等の譲渡所得のある人の申告所得の階級別分布状況をみれば、
▼2004年に株式譲渡所得を申告した人で5,000万円以上の所得の人7,525人が、株式譲渡所得全体1兆3、569円の64.1%を占めている。
▼2005年度分の申告所得合計で見ても、5,000万円を超える人が12,248人で全体のわずか3.9%ですが、この3.9%の高額所得者の受ける減税額が730億円、減税総額の65%を占め、一人当たり1,407万円もの減税。
▼100億円を超える所得の人は全国で7人、これは0.002%だが、この7人への減税額が200億円、1人当たり28億6,000万円の減税だ。
証券市場の活性化というが、その恩恵を受けるのは一部の富裕層、大資産家だけだ。
各紙が「1年の延長が決まった証券優遇税制を廃止していれば、国税・地方税合わせて年7800億円以上の税収増が見込まれることが、政府の試算でわかった。試算の数字のうち、売却益の税額は源泉徴収分だけのため、確定申告分も合わせれば、全体の減税規模は1兆円前後に達するとみられる」と書き、「国・地方の税収の1%程度に相当する。恩恵が少数の富裕層に集中するとの指摘が強く、巨額の減税規模に改めて批判が強まりそうだ」と指摘している。
暮らし困難な庶民に大増税を押し付けながら、史上最高の利益を続ける大企業や不労所得で大儲けする大資産家向には、このような大型減税か。これを中止し、ごく一部をふりむけるだけでも、急いで手当てしなければならない母子家庭や子どものいる貧困な家庭への支援を増やすことができる。
国が決めたこととはいえ、悪政を続ける自民・公明の政治に対して、地方から声をあげなければ、市民も地方自治体もやっていけない、こういうときに、ハイハイ、しょうがないでは済まされない。
専決処分の承認に反対だ。みなさんのご賛同をお願いしたい。


討論のあとの採決で、松本煕市議も反対したが、賛成多数でこの議案は承認されました。

住民税増税から市民をまもるために

定岡敏行市議 この6月から住民税増税だが、地域経済のおかれている困難に年金切り下げと、市民所得の低下は続くなかこの庶民増税。“今年もまた増税だというが、どうやって食っていけって言うのだ。“と、怒りの声が寄せられている。
市民への昨年の増税総額は、市民税で約7,700万円、国保税で2,900万円だったが、今年の影響額はどうか。
市報には、“個々の納税者の負担合計額は同じ”と、増税ではないように書いてあるが、正しい説明といえるか。

7500万円の負担増

中村勝治市長 国から地方への税源移譲によるもので、6月から住民税が増税になるが、1月から所得税が減税になっており、基本的には増減はない。ただ、定率減税の廃止で、その分は税額が増えることになる。
繰り返し広報してきた。問い合わせにはていねいにわかりやすく対応したい。
定岡敏行市議 去年に続いて、今年も7、500万円ものお金が、市民の財布からもっていかれる。市民生活にとっては大変なことだ。定率減税分は確実に増税ではないか。そこが書いてない。
松本総務部長 トータルの負担ということで言えば、少していねいは記載が必要だったかなと思う。
定岡敏行市議 増税になる市民には、必要なら分割納付など、ていねいな対応を求めたい。
松本総務部長 市長答弁のとおり、懇切ていねいに対応する。

年金未納者へ国保で制裁とは

まったくの筋違い

定岡敏行市議 いま社会保険庁解体の法案の影で、年金保険料の徴収強化のために、年金未納者に対して、国民健康保険税を満額納めていても、1ケ月、2ケ月の短期保険証を出せるようにするという筋違いの法律が強行されようとしている。
国が主管する年金制度の徴収対策として、市町村事務である国民健康保険で加入者への制裁をする・・しかも満額払っていても。こんなむちゃはない。
平成18年2月、全国市長会、全国町村長会も、これはおかしいと国に意見書を提出している。
法案は自民党・公明党によって衆議院で強行可決、参議院で審議中ですが、たとえぎりぎりになっても、筋の通らないことは通らないと、きちんと言うべきだ。

地方の長として言うべきことは言う

中村勝治市長 広く国民の理解が得られるか、市町村の意向を尊重せよと全国市長会、町村町長会が連携し意見をだしているところだ。地方の長として住民福祉に疑問があることについては、積極的に発言すべきと考えている。
定岡敏行市議 こんな筋違いを当たり前にしたら、日本の税制やらいろんな制度が根本から崩される。
国保税は全部払っている人に、年金を払っていないから国民健康保険証が1ケ月だ・・・こんなことが実施されたら、年金不信を増大させ、国保税の収納率にいよいよ悪い影響を与えると思うが、どうか。

定岡議員と同感だ

中村勝治市長 定岡議員のおっしゃるとおりで、市町村長がみな懸念しているところだ。
定岡敏行市議 たとえ法律が成立しても実施は来年4月からで、大事なことは「できる規程」だ。こんな筋違いのことはやらないと市長が決断すればしなくてもよい。ぜひ、そういう方向でがんばっていただきたい。

地区集会所光熱費補助の復活を

定岡敏行市議 境港市は、自前でもっている自治会との公平を図るとして、それまで300万円ぐらい出していた地区集会所への光熱費補助を平成17年度分から廃止した。
最近、外江校区の方から意見もあって、自治会長の声を改めて聞いてきたが、みなさん。同様な意見だ。
協働の一番のベースとなるのは地域自治会だ。その拠点、集会所の維持管理に、行政が困難を強いながら協働は進むのか。公平性の問題、金額のことなど、必要な見直しやしくみの変更はあるとしても、協働のまちづくりを実効性あるものとするために、復活すべきだと考えるが、どうか。
中村勝治市長 もちろん自治会は市民活動の根幹であり、その活性化は協働のまちづくりにとって重要。公平の確保が目的で、自治会長の皆さんにはご苦労をかけるが、ご理解をいただきたい。
定岡敏行市議 総務部長といろいろ話してあるので、これは要望にとどめておく。

汚水処理事業の節目にあたって

社会経済情勢の変化に対応して

定岡敏行市議 境港市は、昭和58年度に公共下水道整備の全体計画を策定し、平成2年4月の一部供用開始以来、計画的に整備、平成17年度末の数字で、普及率は40.7%、13,070人の市民がその恩恵に浴するところまできた。
快適な生活環境の確保と公共水域の水質保全に大きな役割をもってきたことはいうまでもないが、この計画は、バブル経済真っ盛りの時代に計画したもの。それから24年。社会・経済情勢の大きな変化(別項を参照)は、境港市の汚水処理の今後について抜本的検討を必要としている。
いま整備中の平成22年度までの第4期整備計画が計画通りいけば、地域的には、おおむね境港市域の東半分をほぼ終え、これから西半分の整備へ、外江、渡方面へと向かう、いまが、いわば一つの節目の時期だ。市長はこれまで「公共下水道による整備が基本」と言ってきたが、これからの未整備区域の汚水処理方針について、どう考えるか。
また、方針策定の前提となる経済的効率性の比較検討をどう進め、新しい整備計画をいつごろまでにまとめる考えか。
どのような手法で整備するとしても、汚水処理事業は、長期にわたる巨額の事業。検討は、将来の人口予測、環境への負荷、財政効率など、多面的な側面から科学的な根拠を持っておこない、その選択は、充分に住民の意向を反映した民主的なものでなければならない。時間をかけた取り組みが必要で、先の話ではない。

市の財政計画とも整合性のある総合的検討をおこなう

中村勝治市長 大正川までの計画は、おおむね2年遅れで24年ごろまでに終了の見通し。引き続き西側の整備に向かうが、これまでと同程度の事業費ですすめれば、平成28年度ごろには米川まで整備できる見通しだ。
今後について、公共下水道が基本との考えに変わりはないが、合併浄化槽も含めた他の整備手法の調査研究も続けたい。検討は、期待される整備効果と一般会計の財政計画との整合性もふくめ総合的なものにし、平成22年度ごろまでに検討したい。

実態にあわない下水道協会の検証マニュアル

定岡敏行市議 検証業務でよく使われるのが、『日本下水道協会の効率的な汚水処理のための都道府県構想策定マニュアル(案)』だが、そこで使われる数字は、実態とかけ離れたものだ。
たとえば、外江、渡もふくめすべてを集合処理したときの処理場建設費はいくらかかるか。マニュアル通りだと106億円ほどで済むという。それを1㎥の建設費に換算してみると36万7千円だ。
しかし、総務省の『地方公営企業年鑑』によれば、境港市のこれまでの処理場建設費の合計は約69億円。それで処理汚水量が7800㎥だから、実績では88万5千円だ。実際にはそれぐらいかかっているのに、36万7千円程度だと比較することになる。
管渠の耐用年数を72年としているが、下水道の歴史が100年もたっていれば、54年で壊れたものもあったが90年持ったものもあり、それが同量だったから、平均耐用年数は72年だと、計算できるかもしれない。だが、日本の公共下水道の歴史が90年たちますか。マニュアルには、管渠の実績が「50年~120年」だという記載まであるが、これは平成13年度作成だから、その120年前といえば明治14年だ。日本のどこにも下水道はない。塩化ビニール管はない。こんなマニュアルを使って科学的な検証はできない。
日本下水道協会だけでなく、あらゆる整備手法の資料、また25年近くの境港の実績、そこを大事にして合理的な検討をおこなっていただきたい。

吟味して実態に合わせておこなう

武良建設部長 ご指摘のとおり、費用や耐用年数などの数値は、よくよく吟味し、実態に合わせておこない、早急にとりくみたい。

質問で指摘した『社会・経済情勢の大きな変化』とは

1)平成17年11月、中海はラムサール条約の指定湖沼となり、中海淡水化中止で内水面漁業の復活も新たな課題となっています。こうしたことは、中海の水質汚濁防止や改善のために、より達成期間の短い効果的な生活排水整備を求めています。
2)昨年、数十年ぶりという豪雨に見舞われましたが、温暖化の影響で異常気象が進行し、雨水対策がより大きな課題となっています。雨水対策は下水道事業と併行して進めるという方針に照らしても現状は不十分ですが、市民の安全と財産をまもるためには、雨水対策もあわせ、それぞれに効率的に推進するという視点からの検討も迫られる情勢になっています。
3)合併処理浄化槽の機能も進歩し、管渠敷設に莫大な投資が必要な公共下水道に変わりうる安価な整備手法として採用する自治体が広がっています。
4)40%という整備率の段階で、公共下水道の事業開始以来の総事業費は406億円、一般会計からも約100億円の税金投入がおこなわれました。毎年8億円前後という近年の繰り入れや公債費の返還は、市の財政再建の重荷となっています。財政再建との関係で下水道事業をどう考えるのか、基本的な検討が必要となっています。
5)ほぼ3年毎に繰り返される料金値上げは、下水道料金の先ゆきに心配を広げています。また、少子高齢化や旧市街地の空洞化が進み、下水道が整備できても、つながない、つなげない世帯が増え、接続率の低下となって下水道経営圧迫の要因となっています。この先の人口見通しとも結んだ、深い検討が求められています。