アメリカよ、美しく年をとれ

昨日TVを見ていたら、ブッシュが「キューバ政権転覆」を呼びかけていた。24日の演説だったようだ。ブッシュはキューバのカストロ政権を「恐怖と悪夢の体制」とし、この40年間、国際法を踏みにじって続けている経済封鎖と制裁措置を緩和する意思はないと表明、各国に対し、政権転覆への協力を公然と呼びかけた。

その国がどうであれ、他国が政権転覆を組織するなど内政干渉そのもの。アメリカの対キューバ経済制裁解除を、国連総会はすでに15年間連続して決議してきた。昨年は賛成国183ケ国、ほぼ全会一致。今年もまもなく16回目の決議が行われる。アメリカはいっそう孤立することだろう。
アメリカはいま、どうなっているのか・・・最近、『アメリカよ、美しく年をとれ』(岩波新書)を読んだ。著者の猿谷要氏は、戦後の荒廃のなかで自由と民主主義の国=アメリカ、その輝くばかりの文化に魅了された。大学の研究者の道にすすみ、日本におけるアメリカ史学確立の祖となり第一人者となった。
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この本には、アメリカと日本を行き来し旅し、かの地にえた多くの知己との交流、その数十年の体験と心象風景が綴られている。かってアメリカが世界から愛されていたそのときから今日まで、彼ほどアメリカ社会を見続けてきた人はいないのではないかと、本を読んで思った。
彼はいま「まぎれもなくアメリカが衰退しはじめたことを実感」する。そしてそれは「いつからだったのだろうか」と自問し、「かってあれほど愛され、好かれて憧れの的だったアメリカが、嫌われ恐れられる国になったのを知った瞬間からだった」と自答する。
それは「やはり2001年、ちょうど21世紀の初めの年にブッシュが大統領になってからだ」と指摘し、京都議定書からの離脱、ABM制限条約の一方的な脱退、生物兵器禁止条約の参加拒否・・・。あとは書かないが、次のくだりは紹介しておきたい。
「未遂に終わったキューバのカストロ暗殺計画などを加えれば、アメリカこそテロ国家だという批判さえ生まれかねないだろう」。
著者はその終章で「アメリカよ、美しく年をとれ」と呼びかけるのだが、そこにはアメリカを愛し続けてきた猿谷氏の悲しみも漂う。
「日本やロシアの若者たちが、ジーンズを身につけハリウッド映画をみる。終わってコカコーラを飲みながらハンバーガーを食べる。アメリカ風の生活様式が世界各地に浸透している。それで十分ではないだろうか。自由と民主主義のもとで育ったこの生活文化こそ、やがては軍事力などよりはるかに多く深く、アメリカ最大の遺産として残ることだろう。世界の強圧的な警察官として振舞うよりも・・・・・」と、今後の進むべき道を示す。
アメリカを知ることは日本を知ること。ご一読をいただきたい。

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