もう一つの源流

いよいよ19日の境港九条の会主催の『高遠菜穂子講演会』の追い込みで忙しい昨日、今日だが、その守るべき日本国憲法の、源流にあるのはドイツ・ワイマール憲法から始まって、イギリス、フランス、要するに「西欧民主主義」にあるのだと、私は思ってきた。ところが・・・・

である。ある市職員が「とりこになった。定岡さんにも読んで欲しくて」と貸してくれた本で、日本国憲法を彩るもう一つの大切な源流があるのだということを知った。
その本は、『魂の民主主義』(星川淳著・築地書館)。著者の星川淳氏はいまグリーンピース・ジャパンの事務局長を務めている人物だが、現地取材を含め10年をかけた労作とのこと。
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そのもう一つの源流とは、戦後日本国憲法の制定に深くかかわったアメリカ自身の建国の歴史に関わる。コロンブスから始まる大航海時代に、王政や教会の絶対的権威に抑圧されていたヨーロッパ人が、アメリカという新天地に見たのは、「王も君主ももたず、誰の命令に従うこともない。みずからの自由のもとで生きている」先住民の人々だった(世に名だたるトマス・モアの代表作『ユートピア』は、この航海に同行した語り手から聞き取りした形で書かれたのだという)。
「自然とともに」「自由に生きる」彼らの精神世界は、100年の時を経て新天地にきたアメリカ人の新しいアイデンティティに色濃く投影され、本国から政治的、経済的独立を求めた合衆国憲法制定の過程では、先住民が形成してきた共同体のあり方を定めた《大いなる平和の法》=イロコイ連邦憲法が、染めあげていったというのだ。
イロコイ連邦とは、《大いなる平和の法》とはどのように生まれたのか、どのようなものか。そしてそれはどのようにして合衆国憲法に生かされ、日本国憲法へと引き継がれたか・・・そこまで書いたら著者に怒られる。
難しい本ではない。「青年は不思議な白いカヌーで湖を渡ってきた」という書き出しで始まるこの本は、自由と平等、平和を獲得してゆく人類の一大叙事詩を読むかのようだ。
五部族の長い戦乱の果てに武力放棄と平和の道を選んだイロコイ連邦は、オンタリオ湖をはさむカナダとアメリカの国境に位置し、いまでも合衆国内の準独立国として、多分にして形式的のようだが、独自のパスポートや入国スタンプをもつのだという。貸していただいた本に、いまにも飛び出してゆきたそうな想いが走り書きしてあったが、私も行ってみたいものだ。
人類がこうして達成してきた民主主義の、ひとつの頂点が日本国憲法だ。その頂点が突き崩されようとするとき、問われるのは、《魂の自由=平等》を失ってなるかという、人としての根源的な気概、精神なのだと、この本を読めば改めて気づく。

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