映画『シッコ』を観たことが、今回のキューバ行きの直接の契機だったのですが、医療については、ちょっとしたスサーナさんの話以上に見聞することもなかったし、もう結構知られていることだから、と省略するつもりでいたのですが、「どうだった?」・・いろいろ聞かれるなかで、やはり、書いておかねばと思い、予定になかったのですが追加します。
ハバナ市街地
「平均寿命は76歳。乳幼児死亡率は0.07%」とミゲルさんは誇らしげに語った。先進国に遜色ない寿命だし、アメリカの乳幼児死亡率を下回る。革命前の平均寿命は55歳、貧困層は、病気になってもお医者にいけなかった劣悪な状態は一掃されたことを思えば、すばらしい成果だ。
革命政権が即座におこなったのが医療改革で、農村を中心に何百もの病院や診療所、医学校の建設、大量の医学生の受け入れ、医師の養成、無医村への派遣・・などをおこなっていった。いま220人の国民に1人の医師。これは世界一の環境ともいえる。国家予算の10%が医療に注がれている。
医療技術も高い。バイオテクノロジーを生かした薬品やワクチン開発では先進諸国とならぶ成果をあげ、バスのなかでスサーナさんは、「先月のニュースですが、肺がん治療のワクチンができた。キューバ人は無料で受けられるようになる」といった。
農村の風景
しかし技術だけではない、その医療システムと「保健思想の重視」にこそ、キューバ医療の真髄があると、私は思った。
すべての地区、地区に、150世帯500人程度を担当するファミリードクター制度が張り巡らされている。大事なことは、医師が来診や往診を通じて、すべての住民の健康状態をきめ細かく把握し、大事に至らないように予防に心がけていることだ。そう、『Dr,コトー診療所』が全国各地にあると思えばよいか。高血圧や風邪などちょっとした体調不良などはここで治療するのだが、患者は必要に応じて地区診療所にいく。さらに症状に応じて最後の総合病院まで受診、治療の道が用意され、この医療システムの全体がすべての国民に無料で提供されているのだ。
店番をしていた女性
1950年、革命後設置されたばかりの公衆衛生省の研修課程開設式で、医師でもあったチェ・ゲバラは、医学生にむけた演説で次のように語っている。誤解のないように注意深く読んでいただきたいが、彼は医学と医師の任務について語る。
「病気との闘いは、丈夫な体を作るという原則に基づいていなければならない。だが、医師が芸術的な仕事によって、弱い器官の上に丈夫な体を作るのではなく、集団全体の労働によって、その全社会集団の上に丈夫な体を作るのでなければならない。
そうすると、いずれ医学は、病気の予防のために使われる学問、医学的な義務に人民の目を向けさせる学問へと、変貌しなければならないだろう。そして、極めて緊急の場合に外科手術を行なったり、われわれがつくりつつある新しい社会の性質では補いきれないような何かをしたりする必要があるときだけ、医学が介入するべきだろう」。
・・・・・・『モーターサイクルダイアリーズ』の巻末に採録された演説より







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