お伝えしてきましたように、8月3日付『日本海新聞』の『地域深耕論』という企画記事で、『境港と韓国、ロシアを結ぶ定期貨客船に対する鳥取県や地元自治体の税金投入は是か非か』をテーマに、中村勝治境港市長と境港市議・私の「対論」が掲載されました。
この対論の途中にも、DBS社が「週1便への減便」方針を発表するなど、眼が離せない状況が続き、行政側の対応も問われる、鳥取県にとってはとてもホットな話題です。
両者の主張をそのまま転載します(写真も同記事より借用)。県民としてどう考えるべきか、考えあいたいものです。ご意見もお寄せください。
「地域深耕論、あの企画はいいですね。問題が深められる」という日本海新聞編集部へのほめ言葉も聞きました、紹介しておきます。
以下、日本海新聞記事です。
境港市長×境港市議

旧日本電信電話公社を経て1975年、境港市役所入り。市民生活部長、総務部長などを経て、2004年7月に境港市長初当選。現在2期目。65歳。
-この1年をどう見ますか。
「荒波の中に漕ぎ出したにもかかわらずよく安定運航できたなというのが正直なところ。貨物で苦戦が続いているとはいっても、他の航路が相次いで運航を中止する中で安定運航できたことが何より大きなことだったと思う」
-それでも赤字が続いている。
「今は苦しいが、歯の食いしばりどころだ。一方では少しずつではあるが、この航路に目を向けていただいていると思う。安定運航を続けていることで内外の信頼が強まっている。実際に中古自動車、観光などの分野での経済交流はずいぶん発展してきた。それも道があればこそだ」
-一方で運航会社からは「さらに支援を」という声もあった。
「赤字を覚悟の上で事業を始められ、いかに早く赤字を縮小し、収支を合わせるかが課題。だが、知っていただきたいのは一番苦しいのは船会社だということ。民間の会社、しかも外国の会社に財政支援するとは何事だ、という意見もあるのは知っているが、船会社も大きな投資と大変な努力をしている。われわれもそれに応えるべきだ」
-将来への投資ということか。
「将来を見通すと、わたしはこの圏域の発展の鍵のひとつは港、つまりこの航路だと思っている。将来、必ず環日本海交流時代がやってくる。そのときに動いても遅く、今こそ力を入れないといけない。民間にも交流への機運が高まっている。本当に近い国々なのに、これまで交流がなかったのがおかしい。国も重点港湾、日本海側の北東アジアに向けた拠点港指定とその目を交流時代に向けている」
「実際に交流が進んでおり、子どもたちの交流などはとても評判がいい。子どもたちには国際感覚が必要だが、こうした交流で感覚がはぐくまれている。『航路が失敗したらどうする』などの論議もあることは知っているが、こうした交流で培われたノウハウ、人脈などはいろいろな形で残っていく。もっと大きな目で見てほしいと思う。米子ソウル便で県などが実施した支援同様、単なる民間企業への支援とは意味が違う。いくら細くても道はなくしてはいけない。将来のため、中海圏域44万人が一つになって外に目を向けなくてはならない」
「もちろん、外にばかり目を向けていて、足元をおろそかにしてはいけない。本市が掲げる『環日本海オアシス都市』は人、物が活発に行き交うとともに、住民が安心して快適に暮らせるまちでなくてはならない」
-「行政は失敗しても責任を取らない」という意見は根強い。
「行政に失敗や停滞は許されない。心して任に当たっているが、これまでのことも『地域を良くしよう』との一心でやってきたことだと思う。市議会にも諮っており、市民の合意を得ながら進めている。今後も同じだ」
-市民には「情報が少ない」という声もある。
「これまで運航会社からの連絡が迅速でない面があったのは確かだ。だが、経営陣が新体制になり、こうした面でも期待を持って受け止めている。情報連絡についても県と情報を共有し、速やかに情報をオープンにしていきたい」
-現在の形の支援は当初3年間となっている。今後の経営状況次第では追加支援の話も浮上してくる。
「現在の厳しい経営環境が今しばらく続くと思うが、まずは地域が心一つに努力することが大切なことであり、先のことについては言及できない。3年間支援を継続するのはその先に見込みがあるからであり、われわれもそういった状況を作るよう努力しなければならない。今やっていることは、将来『間違っていなかった』と評価されると思っている」

全農林労組蚕試分会書記、米子民主商工会、境港民主商工会勤務などを経て2002年2月の市議選で共産党公認で初当選。現在3期目。議会運営委員長。67歳。
-就航1年を過ぎたが、成果をどう見る。
「いろいろな交流が広がってきていることは就航の成果であり、いいことだと思う。しかし、貨物が不足しベースカーゴは見通しも立たない。今後の運航継続さえ予断を許さない状況だ」
-航路の意義をどう見る。
「『地域経済の振興』とか『都市間競争に勝つ』という視点で語られる航路だが、そんな狭い問題ではない。韓国、ロシアは近いところにありながら、戦後はアメリカ以上に遠いところだった。そこで人的、経済的交流が進み、相互理解が進むことは北東アジア全体の平和と友好にとって重要なことだ」
-航路には賛成ということか。
「問題は行政のかかわり方だ。リーマンショック後の厳しい経済環境の中、地元の経済人でさえ『やってみないと分からない』と言うような事業、しかも韓国の私企業になぜ税金投入かだ。いまだに県民、経済界の中にも合意はない」
「公金を投入し、ダメだった場合は誰が責任を取るのか。大きな眼で見守って欲しいと言われるが、われわれは中海新産業都市、中海干拓事業、夕日ケ丘開発と、何度、〝夢〟につきあわされ、裏切られてきたことか。誰も責任を取ってはいない。ツケはみな県民、市民がしょわされている」
「運航会社の事業計画では当初3年は赤字だが、4年目以降は黒字化し、6年たてば元が取れるとしていた。どんな事業でも当初が赤字なのは当たり前。それでも商機があるから運航会社は事業を始めたわけで、それならそれでビジネスライクにやればいい」
-運航会社の姿勢にも問題があると。
「3月に運航会社の社長(当時)が平井伸治知事を訪ね、『6億円の赤字が出ているからもっと助けてくれ』と言い、知事もさらなる税金投入を約束した。『こりゃ、ないだろう』と思った。
ベースカーゴもない。そんな目途も持たずの開設か、それで『助けて!』か、経営感覚を疑った。赤字補てんという出発がそういう甘さを生む。まともな企業経営を惑わすものであり、こんなやり方で、結果的にうまくいかなければ。この地域の将来に禍根を残しかねない」
-だが、航路は経済振興につながるという期待もある。
「地方経済があまりに深刻だから、〝夢〟でも期待したい経済界の気持ちは分かる。だが、結局は外需頼みであり、こんなことで先が開けるのか。中国の富裕層がターゲットとして取りざたされるが、いつまでも続くものでもない」
「スタートは世界同時不況の最中だったが、いままた、ギリシアをきっかけに世界が財政収縮の方向に動いている。環日本海だけが例外とはいかない。私企業がやるのは、それぞれの判断だが、行政がとりくむ地域経済の活性化策としても基本が間違っている」
-では、なにが重要だと。
「『もともと地上に道はない。人が歩けばそれが道になる』という魯迅の言葉があるが、需要があれば道はできる。その道の往来を活発にするのは、やっぱり内需だ。生産活動が冷え込んだところに運輸はない。人々の財布が心配になって海外旅行はない。社会的貧困の解決、医療、福祉や教育への投資、農業や漁業、環境など未来型産業の育成に地域レベルでも全力をあげる。その国内需要と結びついてこそ航路の安定的維持も可能だ。そこにこそ政治の役割がある」
「もう一つ。竹島や在日外国人の地方参政権などをめぐり、中国や韓国・朝鮮の人たちをいたずらに刺激する論調があとを絶たない。アシアナ航空の米子ソウル便はその影響をまともに受けてきた。こういう排外主義的な考え方をこの地域から克服していくことも大事な課題となっている」
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ミニクリップ 環日本海定期貨客船運航奨励費
DBSクルーズフェリーに対し、地元経済界などで組織する環日本海経済活動促進協議会(足立統一郎会長)を通して鳥取県と中海市長会の4市1町が支出する。東海-境港の1往復につき100万円が支払われることになっており、昨年度は73往復で7300万円が支払われた。韓国の江原道、東海市も同様の支援を実施している。昨年度の支払額の内訳は鳥取県4380万円、境港市2501万8千円、松江、米子市各152万1千円、安来市76万円、東出雲町38万円。
記者コラム 環日本海定期貨客船就航から1年。同時期に就航した新潟と韓国、ロシアを結んだ航路や富山-ウラジオストック航路などが貨物不足で運航を休止する中、ほぼ欠航することなく運航を続けている。ただ、当初から懸念された貨物不足は解決されず、赤字運航が続く。
こうした状況を受け、運航会社はこのたび経営陣を一新し、境港寄航を週1回に減らす決断を下した。利便性は損なわれるが、「何としても航路はなくさない」ということなら大歓迎だ。支援はあっても本来的には運航会社の自助努力がなにより必要だ。運航会社の“本気”度に注目したい。(境港支社・倉繁淳志)







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