住んで良かったと言える街へ

最 終 回 の 登 場 は
p-mori2.gif境港市社会福祉協議会会長
 

森 善昭  さま


市議会事務局長を最後に市役所を退職。その後、社会福祉協議会事務局長に就任、昨年から会長。現場のニーズを大切にした地域福祉充実のまちづくりをとがんばっていらっしゃいます。

05年3月28日
市役所にて

定岡 市の社会福祉協議会(以下、社協)がやっていることから教えていただけませんか。香典返しのときしか思いつかない人もいる。
 そのとおりで、知っている人でも「高齢者や障害者のことをやるのが社協」ってとこじゃないですか。その周知ももっと必要ですが、去年から、市内の保育所や幼稚園に図書の購入補助とか子育てサークルへの活動支援も始めたんですよ。知ってましたか?
定岡 いいえ、はじめて・・・・。
 それもね、「図書は貸し出しもして、親子で一緒に読んでもらえるようにしてくださいね」とか、「自分たちだけのことにしないで、子育ての仲間、一人でも増やしてくださいね」ってやっているんですよ。

将来を見据えて、活動の幅を広げる

 東京から『国境なき医師団』を呼んだりしてね、中学校での講演会もはじめたんですよ。市民会館に集めてじゃない。身近に聞いて欲しいから3つの学校で、学校ごとにやるんですよ。よその事務局長から「境港は、いろんなことやるな」と言われたけど、「将来お医者になって世界で働きたい」、そういう子がでればうれしいじゃないですか。ボランティアへの関心を育てるのも、将来を見据えた社協の立派な仕事じゃないかな。

役立つ喜びが人を育てる

定岡 福祉ニーズは多様化する、市からさまざまな事業が社協へくる・・・仕事は増えるばかりですが・・・。
 市の行革で、高齢者食事サービスやふれあいの家、社協で引き受けることが多くなった。敬老会も「これほど地域に密着した行事をやめるわけにはならんだろう」って、社協でやることになった。渡校区は100人前後の市民が世話役で参加していますよ。
定岡 そうですね。私も参加していますが・・・。
 これまでは「役所がすーだけん」とお手伝いだった人が、「ジゲの年寄りのことだがな、やってやらいや」となっているし、「あんたたちの弁当の方が美味しい」と言われる。人に役立つ、その喜びが世話する人の張り合いになる。80歳でリーダーの人もいますよ・・・。

地域力の維持が大切

定岡 それが、地域力だと・・・。
 そう。西部地震の時に試されたのは、日頃から近所で助け合える関係。難しい世相だが、この地域力を維持するのが大事。そのためにも社協の活動を中年、子育て世代まで広げなきゃいかん。だから、さまざまな団体への活動補助も始めた。年末たすけあい募金の還元も、昨年から学童保育をやっているグループ、たいしたことでなくても良い。お年寄りとシメナワをつくる、お雑煮をいっしょに食べる、そんなことでも良い。人をつなぐ活動の応援が大切なんだろうと。

楽しみな障害者との食事会

定岡 重度障害者のお宅を訪ねたことがあるのですが、おかれている現実に言葉を失いました。回りも一生懸命だけれど、ノーマライゼーションというけれど、簡単なことじゃないと思いました。
会長は、障害者のみなさんといっしょにお食事会をされたりだとか。
p-mori1.gif

2005スペシャルオリンピックス
境港トーチリレー出発式で

 ホテルとの打ち合わせとか、大変だけど楽しみですね。いいですか、生まれて初めてホテルで食事をするんですよ。こぼしたりしないか、グラスを割ったりしないか、はじめは当人たち、頬が引きつるほど緊張するんですよ。でも回を重ねるうちに嬉しそうな顔になるんですねえ。「また、いきたいな」と感想文を書くんですよ。
定岡 自立への自信を育てているのでしょうね。社協の会長といえば他の市町村では、市町村長が会長だったり、お飾りだったりするのじゃないでしょうか。境港は素敵な会長をもったものだと、お話しうかがっていてうれしくなりました。

福祉ニーズも、現場でつかむ

 月並みだけれど、境港に住んで良かったと、言える地域にしたい・・・それが社協ですから。
定岡 最後に、信条みたいなものをお聞かせいただければ・・・。
 そうね、『現場』かな。私は5年間、福祉事務所長でしたが、そのときも大事にしたのは『現場』だった。たとえば保育所にいくときでも、まずは調理室で働くパートのおばさんから会う。声をかける、意見を聞く。園長さんに会うのは最後。これからの『福祉ニーズも現場でつかむ』、その姿勢がすべてを決めるだろうと、ね、私は思っている・・・そういうところかな。